書物誕生のシリーズは3冊目。取り上げる「バガヴァッド・ギーター」は未読。ちょうど、Kindleプライムのオーナーライブラリで無料で読める訳本がある。これから読もう。
バガヴァッド・ギーターは、戦場で戦意を失った戦士アルジュナと、翻意を説くクリシュナ、後に神であることを明かす、の対話を描く叙事詩。本書では、書物の誕生のいきさつから、西洋における受容の過程を通し、原典の主題を明らかにしようとする。ただし、副題の「神に人の苦悩は理解できるのか」について、突っ込んだ議論を期待する向きには沿えない。個人的にはそこに期待したのだった。原典から、一つの答えは導かれているが、その解釈は、読者に委ねられている。
本書の展開は、わかりやすい。著者の長年の問題意識が、それぞれのテーマを一貫し、結びつけているためだろう。あとがきに「奇妙につながって」「奇跡のような瞬間を味わう」とあるが、実感できる。ただし、ガイドブックの本旨は逸脱しない。この先は、原典にあたるべきであろう。
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